ウッドショックの急襲 !⑤
2021/07/30
ウッドショックの急襲 !⑤
いつまでウッドショックは続くのか。
主因である米国の住宅需要がいつまで続くかが鍵となる。
日本木材輸入協会の大野裕一郎針葉樹部会長(住友林業国際流通部長)は4月に開かれた林野庁の臨時情報交換会で「米国の住宅ローンは3%前後と史上まれに見る低金利で住宅市場は好況。これを踏まえると、現在の状況は21年いっぱい続く可能性がある」との見通しを示した。
林野庁も「供給量はすぐには戻らないと考えている」(木材産業課の高木望課長補佐)、国土交通省も「米国が自国の活発な住宅市場にわざわざ冷水を浴びせることは考えにくい」(住宅生産課木造住宅振興室の長岡達己課長補佐)と、当面は逼迫した状況が続くとの見方だ。
「暴騰のあとには必ず暴落する」
こうした読み筋の背景には、米国の住宅需要が好景気に支えられた一時的なものではないという見立てがある。
低金利は背景にあるものの、投機的な需要というより、新型コロナによる在宅勤務の定着、それによる郊外戸建て住宅の需要増という価値観の変化が根本にある。
米国では多くの企業でテレワークが常態化しており、住宅への投資が数か月で先細るとは考えにくい。
国産材への切り替えにはしばらく時間がかかると見られ、高騰はしばらく続きそうだ。
木材流通が専門の活木活木森ネットワークの遠藤日雄理事長は米国などの需要変化に振り回される現状に対して危機感を抱く。「そもそもの原因は日本が欧州材などを買い負けている点にある。時期は分からないが、暴騰のあとには必ず暴落が待っている」と警戒する。